資料 仕事術 #給付請求訴訟の当事者適格 定義( 最判昭61.7.10 ,百選 〔38〕  ) KH221020永谷典雄判決書

資料 仕事術 #給付請求訴訟の被告適格 定義( 最判昭61.7.10 ,百選 〔38〕 )

https://ameblo.jp/bml4557/entry-12772762296.html

https://plaza.rakuten.co.jp/marius/diary/202211040000/

 

「 給付の訴えにおいては、その訴えを提起する者が給付義務者であると主張している者に被告適格があり、その者が当該給付義務を負担するかどうかは、本案請求の当否に関わる事柄である 」

 

給付請求訴訟で、被告と指定された者は、被告適格を有する者である。

被告適格者が、給付義務者であるとは限らない。

「被告適格者であること」と「給付義務者であること」とは、別の問題である。

別の問題であるとは、認定手続きが異なるからである。

 

被告適格者が、給付義務者であるか否かについては、以下の審理手続きを通して判断する

 

判断の基準は、原告が主張する「 給付請求権発生原因事実 」の審理手続きの結果による。

=>「 給付請求権発生原因事実 」が成立=>「 被告適格者=給付義務者 」である

==>「 給付請求権発生原因事実 」が不成立=>「 被告適格者≠給付義務者 」である

 

○ KH221020永谷典雄判決書 の虚偽記載

川神裕学習院大学教授には、作為給付請求訴訟における被告適格がある。

何故ならば、原告が被告であると指定した者であるから。

このことから、作為給付請求訴訟における被告適格の要件は、被告とされた者である。

 

○ 作為給付請求訴訟で審理をする目的は何か。

原告に、給付請求権で有るか否かを争うものである。

=> 目的は、原告適格性の有無について判断することである。

==> 原告適格性有りと事実認定された場合は、原告は作為給付請求権有りと事実認定され、原告は給付請求権者となる。

==> 原告適格性無と事実認定された場合は、棄却判決。

 

○ 作為給付請求訴訟では、何を審理対象とするか。

=> 審理対象は、原告主張の作為給付請求権発生原因事実である。

==> 作為給付請求権発生原因事実が証明された場合は、原告は作為給付請求権者となる。

==> 作為給付請求権発生原因事実が証明された場合は、棄却判決。

 

○ 作為給付請求訴訟では、被告適格性をかけることを理由にして、却下判決(民訴法一四〇条)を出すことはできない。

作為給付請求訴訟では、被告適格性は、訴状審査権の対象とはなり得ないからである。

 

○ 因果関係図(連動関係)

審理の結果、原告は給付請求権者であることが事実認定された場合。

=> 被告には、作為給付義務を負う。

=> 被告は作為給付義務者となる。

 

○ 給付の意味

私法上,広義には、債権に限らず請求権の目的である義務者の行為をいうこともある。

普通には、債権の目的である債務者の行為をいう。

 

給付はいろいろな観点から,特定物給付・不特定物給付,可分給付・不可分給付,作為給付・不作為給付などに分類される

 

○ 請求適格とはなんですか。( 請求適格の存否 )

個々の事件を離れて「一般的に見て」、請求内容が本案判決を受けるのに適することです。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11249635736#:~:text=%E3%80%8C%E6%B0%91%E8%A8%B4%E6%B3%95%E4%BA%8C%E4%BA%8C%E5%85%AD%E6%9D%A1,%E3%81%9F%E3%81%AB%E3%81%99%E3%81%8E%E3%81%AA%E3%81%84%EF%BD%9E%E3%80%82

 

 

 

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第3 給付の訴えの当事者適格者

https://tippp.hatenablog.com/entry/2017/08/09/201105#%E7%AC%AC%EF%BC%93%E7%B5%A6%E4%BB%98%E3%81%AE%E8%A8%B4%E3%81%88%E3%81%AE%E5%BD%93%E4%BA%8B%E8%80%85%E9%81%A9%E6%A0%BC%E8%80%85

 

さて、ここからが本題です。便宜上、原告適格についてまずは説明しようと思います。

 

もう一度確認ですが、「 給付訴訟の当事者適格 」は、原告適格であれば「権利者と主張する者」に、被告適格であれば「義務者と主張される者」に、それぞれ当事者適格が認められるとされており、これは正しい理解です。

 

そもそも、「権利者と主張する者」に原告適格が認められるとされる理由はなんでしょうか。

 

・・この点、当事者適格という訴訟要件は、「 効率的な訴訟運営や紛争解決の実効性を確保する 」ためのものです。

「効率的な訴訟運営や紛争解決の実効性を確保する」ために、最も適切な当事者を選定するための要件が当事者適格ということになります。

 

そして、自らを「権利者と主張する者」は、自らの権利を基礎づけるために、充実した訴訟追行をすること請け合いであり、その者を当事者として判決を下せば、現実に存在している紛争を解決することができます。

 

したがって、「権利者と主張する者」を原告とすることが、効率的な訴訟運営や紛争解決の実効性を確保する上で最も適切であると考えられるのです。

 

・・このように、判例は、権利義務の帰属主体となり得ない場合であっても、形式的に権利者であると主張する者原告適格者である、という定式を貫いています。

また、被告適格についての判例の態度も同様で、「 最判昭61.7.10 」は、「 給付の訴えにおいては、その訴えを提起する者が給付義務者であると主張している者に被告適格があり、その者が当該給付義務を負担するかどうかは、本案請求の当否に関わる事柄である 」と明確に述べています。

=> 給付請求権発生原因事実の審理手続きをとおして、被告が給付義務を負担するか

 

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給付訴訟における #被告適格 と訴訟担当について

https://bexa.jp/questions/view/178

・・給付訴訟では原告が主張する義務者こそが被告適格者なのであるから( #S61判決 )

 

訴えの却下をすることができず、本案判決によらなければならないのではないか、ということでしたね。

 

まず、あらかじめ結論を述べますと、少なくとも現時点ではS61判決も百選12事件判決も維持されております。百選12事件で本案判決による必要はありません。

 

次に、理由です。ご質問の内容に直接の回答を与える文献は見つかりませんでしたが、高橋宏志「重点講義(下)」第2版補訂版に示唆的な記載があります。以下、引用してみます。

 

「 当事者適格は権利義務の主体が当事者となる通常の訴訟においても問題となる一般的概念である。

が、他人の権利義務につき第三者が管理処分権を持つ場合に特に問題となる。

これを第三者の訴訟担当と言う。当事者適格として理論としては両者統一的に括られるが、実際に機能する局面は、前者の通常の訴訟と第三者の訴訟担当とではかなり異なる。

それは、訴えの利益においても、理論としては一般的であるが、実際に機能するのは確認の利益において最も重要であるのと照応するところがある。」(同書244-245頁)

 

要するに、一般の給付訴訟における当事者適格と第三者の訴訟担当における当事者適格とは、給付訴訟における訴えの利益と確認訴訟における訴えの利益との関係と同じように考えることが可能だということですね。

そうすると、給付訴訟においては原則的に訴えの利益があるとされますが、確認訴訟では訴えの利益を吟味しなければならないのと同様に、一般の給付訴訟においては原告により義務者と主張される者被告適格が認められるとしても、第三者の訴訟担当の被告適格を吟味しなければならないということができます。

 

「当事者適格判断の基準は、必ずしも統一的で明快なものがあるわけではない。本文で述べたように、一般の給付訴訟の場合には権利義務の主体だと主張すればよいと説明し(……)、第三者の訴訟担当や固有必要的共同訴訟では管理処分権で説明するという二元的な説明が主流である。究極的には、誰と誰を当事者として本案判決をするのが紛争解決の見地から有効・適切かということなのであるが、ブレイクダウンした中間の概念として法的利益と管理処分権が用いられるのである。」(同書248頁)

 

一般の給付訴訟とは異なり、第三者の訴訟担当の場合には、管理処分権の有無という中間的な基準を用いて被告適格を吟味しているということですね。

 

ここまでの説明を簡単にまとめると、一般の給付訴訟と第三者の訴訟担当では、実際に当事者適格を判断するにあたっての基準が異なるということです(根っこは同じみたいだけど。)。

そうだとすると、S61判決は一般の給付訴訟における被告適格の判断基準を示したものであり、他方、百選12判決は第三者の訴訟担当(のうちの遺言執行者について)の被告適格の判断基準を示したものということができます。